機能的姿勢を知ろう!

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姿勢を知れば身体がわかる

姿勢のバランスを整えることは、すべての身体症状を土台から改善することにつながります。さまざまな症状を克服する上で、姿勢を読み取ることは重要なステップなのです。ここではやすらぎ創健堂でおこなう姿勢の観察について、基礎から実際の観察の進め方までくわしく解説します。

大切なのは、姿勢を作出す身体内部の動きです。その主役となるのが、筋肉や骨格、神経系などの身体運動をコントロールする器官です。

このようにして作られる姿勢(=施術をおこなう基盤となる姿勢)のことを、外面的な姿勢と区別してとくに機能的姿勢と呼びます。

機能的姿勢について理解すると、さまざまな不定愁訴が生まれてくる理由が、わたしたち自身の身体の重みと思いのほか強く結びついていることがわかるようになります。

わたしたちの身体は、地球重力のなかで、巧みに身体を操りながら生きようとたえずがんばっているのです。

姿勢コントロールの最大の目的は、安定性の確保です。立つ、歩く、木によじ登るなど、あらゆる身体動作において、安定性がなければ、運動の正確さや持続性がたもてません。エネルギー効率も悪くなりますし、筋肉や骨格、関節を故障する機会も多くなってしまいます。

その際、とくに憶えておいていただきたいことは、わたしたち哺乳類は、背骨を前後の軸にそって使う特性を持っているということです。

イルカやクジラなど、海洋性の哺乳類が魚類とり違って、尾ビレを前後の方向に使うこうとはよくご存知でしょう。魚の泳ぎ方とは大きな違いがありますよね(右図参照)。

下に示したのは、赤ちゃんの運動能力の発達と背骨の変化をまとめたものです。首の動作、腕の動作、上半身の動作の発達が、関連する背骨の領域に生ずる反りと連動しているのがわかります。

幼児の発達と脊柱の運動能力

姿勢には人それぞれの個性がありますが、機能的姿勢の成り立ちをよく理解すると、さまざまな個性のなかにも一定のルールがあることが見えてくるのです。

これまで整体や手技療法について、「何をされるのかわからない」「科学的な根拠にとぼしい」という印象をいだいてこられた方も少なくないかもしれません。

体調の乱れや痛み、不快感などに押されて、やむにやまれず整体や手技療法を通うようになったという方もすくなくないでしょう。

機能的姿勢の観点からご自分の身体をながめるとそこにさまざまな身体症状があらわれてくる一定のルールがあることが理解できると思います。機能的姿勢の視点でご自分の身体をチェックしなおし、なぜ姿勢を整えるとよいのか、ご自身も納得しながら施術を活用していただくとより有意義ではないかと思います。

なぜ、前後方向の歪みが重要なのか

姿勢における支持面と安定性の関係
身体の安定性を考えるときに大切なのは支持面との関係です。どのような姿勢支持面が大きければ安定し、小さくなると不安定になります。わたしたち人類の直立二足歩行は、二つの足裏のみを支持面とする姿勢です。安定性を確保するために高度な運動能力が必要とされる姿勢なのです。

安定した姿勢は、支持面を中心に、前と後、右と左、さらに左右の回旋の力がうまく均衡することによって成り立ちます。かりに右手を横に上げれば、左半身にはそれとつりあうだけの下向きの力がかならず生じます。このように、安定性を生み出しために、支持面の反対側に生ずる力のことをカウンターアクテビィティと呼んでいます。機能的姿勢を理解する上の重要なキーワードです。

脊柱のS字状彎曲

人類の直立二足歩行は、イヌやネコなどに見られる四足歩行から上体を持ち上げるように作られた姿勢です。安定性を生み出すために、たえず身体の背面に強力なカウンターアクテビィティが働いている姿勢なのです。

ここで重要な役割をはたしているのが、前後方向に背骨を使う哺乳類の特性です。脊柱の腰部や頚部に見られるそった領域は、このカウンターアクテビィティを作り出すために発達したもので、代償性彎曲と呼ばれています。

お一人お一人の心身の状態を捉えるに当たって大切なことは、この代償性彎曲の状態を中心に、そのときそのときの機能的姿勢の状態を細かくチェックしていゆくことなのです。

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