姿勢の基盤は腰にある!

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機能的姿勢の基本は腰にある

人類学によると、わたしたち人類の祖先が直立二足歩行をはじめてから、すくなくとも600万年以上の時間が経過しているそうです。機能的姿勢は、この人類の直立二足歩行の歴史の結晶です。

前のページ(機能的姿勢を知ろう!)で紹介してきたように、そこには哺乳類としての痕跡が残されています。

人間の脊柱を見ていただくとよくわかりますが、胸椎部の後方の突起(棘突起といいます)は、すべて下方に引っ張られたような形をしています。これは、ここに下側に引っ張る強い力が生じていることを物語っています。

これに対し、骨盤部の仙骨は後に跳ね上がったような形をしていて、その背面はでこぼこと上方へ無数の棘を伸ばしたような形をしています。

これは、背骨が前後の方向(屈伸の方向)に強い力を受けていることを物語っています。いかにも哺乳類らしい特徴ですね。

このような形状は、胸椎部仙骨が互いに引き合って直立姿勢のためのカウンター・アクティビティC.A.)を作り出していることを示しているのです。直立姿勢の鍵は、腰にあるというわけです。

古来、武道や芸能の世界では、「腰が身体作法の中心」と考えられてきました。これは、激しい修行や鍛錬をつうじて、機能的姿勢の重要性がしっかりと理解されていたのですね。

ですからわたしたちが姿勢を観察するときにも、もっとも重視しているのはお一人お一人のの状態がどうなっているかということなのです。

注意すべきは、背骨と仙骨の以降部に生ずる急激な岬角です。一番下の背骨(腰椎5番)は、たえず前方に押し出されるような強い圧力を受けているのです。一定の年齢に達すると、多くの人の腰椎5番は棘突起が後方から触れないくらいに、落ち窪んでいます。このことは、機能的姿勢全体に大きな影響を与えるのです。

同じく重要なのが肩口です。肩口は、頭部を引き起こすためのもう一つのカウンター・アクティビティC.A.)を作り出すためのものです。

ここにも哺乳類の痕跡が生きています。ウマやゾウ、イヌなどの骨格を見ても、みんな肩口の棘突起が大きく張り出していますね。哺乳類の身体は、前足を視点に頭と胴体でバランスをとるようにできているのです。

哺乳類の体制と肩の役割

機能的姿勢の4つの段階

背骨の可動性低下による姿勢の類型 stage01の姿勢
実際に機能的姿勢の観察するときには、上に掲げた4段階の基準を設けています。これが、おおむね加齢にともなう成人の機能的姿勢の変化をしめしています。左→右に進むにつれて、背骨のとくに椎間板の柔軟性が低下し、とくに腰部の弾力性の低下が進んでいます。

stage01は、4つの体型のなかでもっとも理想的な体型です。腰部にしっかりと柔軟性に保たれていて、腰椎部分だけで直立二足歩行のためのC.A.を十分に作れる身体です。

背筋がまっすぐに保たれ、肩に無用な力みがないのが大きな特徴です。身体を横から眺めて、外耳孔と肩峰、大腿骨の大転子、足首の外くるぶしが一直線に保たれていることがstage01を判定する上でのポイントになります。

stage02姿勢への移行の兆候

錘をつけた紐を大腿骨の大転子から下ろしてみて、足首の外くるぶしより前に出ている人は、すでにstage02への以降がはじまっているひとです。stage01は、若くて柔軟な脊柱を持っている人によく見受けられる姿勢なのです。

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