わたしたちの体内はさまざまな器官の分業によってなりたっています。器官の働きをコントロールする時間が保たれなければ健康で活動的な生活をおこなうことはできません。このために睡眠がはたしている重要な役割について理解しましょう。
体内時間がもたらす健康な日常生活
朝起きても血圧が上がらない、立ちくらみがする、夜中にトイレに起きる、朝食欲がない、日中に眠けが取れない、朝起きた時点で目の疲労を感ずるなどの症状の背景には、体内時計の乱れが関係しています。
さまざまな器官の活動の時間的な同調が保たれていないことを示しているのです。下の図は体内のホルモンや内臓の活動のピークを示したものです。
わたしたちの体内では、さまざま器官が分業して細胞の生活を支えています。各器官は、それぞれタイムングをあわせて活動することで生理活動の恒常性(ホネオスタシー)を保っています。これが乱れると、身体の不調なって表れてきます。
このタイムスケジュールを正しくリセットすることは睡眠のもっとも重要な役割の一つです。このことをよく理解して睡眠の改善に取り組みましょう。
体内時計の同調が健康の基礎
- 寝ると体温が下向しはじめ90分周期で体温上昇がおこる。
- 睡眠中は尿を濾す能力が高まって尿量が大幅に減少する。
- 横になると血圧が下がり呼吸が緩慢になる。立つと血圧が上がり呼吸が活発になる。
- 明け方に成長ホルモンが分泌され内臓の上皮、血管の内皮で細胞分裂が起こる。
- 起床前に血糖値が上昇し、脳が覚醒する。
- 起床時には体温が高くなっている。
快適で活動的な日常生活にとって、体内時計の役割は不可欠なものです。生理活動の周期が崩れると、身体がだるく、疲労感がぬけず、横になりたい・眠りたいという気持ちにたえずさいなまれることになります。
体内時計の中枢となるのが脳で、自律神経やホルモンを通じて、各所の体内時計の同調を保っています。しかし、現代の生活は、このような体内の時間サイクルを崩すさまざまな要因を抱えています。
全体的な生活のリズムに乱れはもちろんですが、局所の疲労の過度の蓄積やよい意味での疲労感の蓄積の不足、精神的な緊張なども、睡眠の質を低下させ、体内時計を乱す要因になります。
シンギュラリティという現象
強い光を浴びることが体内時計をリセットするうえで重要な役割をはたしていることが知られています。この現象を「シンギュラリティ」と呼んでいます。強い光の刺激が脳内の松果体という部位に作用して体内時計をリセットすると考えられています。
しかし、強い光を浴びることだけでは十分によい睡眠の質がもたらされるわけではありません。たとえば腰の痛みが膀胱の神経を緊張させて夜、トイレに起きるといったこともあります。猫背などの姿勢の問題は、就寝時に気道を圧迫して呼吸を不安定にしたり、いびきを大きくして睡眠の妨げになることがあります。
また日中強いストレスを受けると、脳が興奮してなかなか寝付けなかったり、それがために床に就いた後もしばしばトイレに起きたくなったり、起床前の血糖の上昇が見られず、起きてはみても脳は眠り込んだままで、身体は重く、意識は働かず、「眠れた」という実感とはほど遠い朝を迎えることになりかねません。
自律神経調整の意義
脊髄神経反射の調整は、このような神経の興奮が鎮静し、腰痛や肩こりといった運動器官の問題だけでなく、内臓にいたる神経の緊張、夜間の呼吸の不安定、眼球運動や歯ぎしりなどの不随意運動をも鎮静してくれます。
大切なことは、疲労が蓄積した場所、興奮状態にある神経を的確に整えることです。無駄な刺激によって身体に違和感や緊張を残すことは避けなければなりません。
身体が緩んでここちよい疲労感に包まれることは、体内時計をリセットするうえでも重要な意味を持っています。心地よい疲労感は睡眠の質を改善し、体内時計をリセットする大きな意味があります。これがシンギュラリティの本来の姿だからです。
現代の生活では身体を固定したまま、目や肩、首に大きな負担をかけることが多くなります。たくさんの情報にさらされ脳は興奮しながらも、全身を動かしてここちよい疲労を感ずる生活ではなくなっています。
身体は偏った使い方によるこわばりや神経症状、精神的なストレスによって睡眠をさまたげられ、身体の生理的なリズムをくずことにより、いわゆる病気ではないけれども健康ではない状態に置かれてしまいがちです。
当院の施術
当院の脊髄神経反射による施術は、身体のこわばりや姿勢のバランスを回復するだけでなく、自律神経に働きかけてさまざまな生理活動を改善するとともに、深い眠りをもたらし、体内時計のリセットによる健康な毎日を取り戻すためにとても有効なのです。
ぜひあなたの身体にあった脊髄神経反射の調整を受けて、ここちよい安らかな眠りを取り戻してください。